研究概要 |
固形腫瘍内部でみられる栄養飢餓・低酸素状態などのストレスに応答し、細胞はGlucose regulated proteins(GRPs)の発現を誘導する。3種類のヒト癌細胞(大腸癌HT-29細胞,卵巣癌A2780細胞,乳癌MCF-7細胞)を用い、ストレスによるGRP78,GRP94の発現誘導を確認した。このとき,ストレスを受けた癌細胞はDNA topoisomerase II(TopoII)阻害剤VP-16に耐性を示した。TopoIIの顕著な発現低下が認められ、VP-16耐性の機序と考えられた。多剤耐性遺伝子MDR1は誘導されなかった。また、VP-16以外にもVincristine,Camptothecin(CPT)などの抗癌剤耐性も同時に誘導された。また、このストレスにより顕著なgrowh arrestが認められG1期の細胞の蓄積が観察された。このストレス応答により抗癌剤耐性は多くの固形癌にみられる自然耐性の機序と考えられ、今後この抗癌剤耐性の誘導機序を分子レベルで理解していく必要があると考えられる。
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