研究概要 |
蛍光偏光解消顕微鏡の開発とその細胞動態解析への応用を試み、以下の実績を得た。 1.蛍光偏光解消顕微鏡-ビデオシステムの開発 蛍光の偏光解消度を細胞レベルで解析することを目的とし、顕微鏡、偏光板、超高感度SITカメラ、高画質業務用ビデオデッキ、コンピューター画像解析装置を組み合わせて、蛍光偏光解消顕微鏡-ビデオシステムを開発した。 2.蛍光標識抗プロテインキナーゼC抗体の作製 蛍光色素ロ-ダミンを結合させた抗プロテインキナーゼC抗体を作製・精製し、これをラット肥満細胞系であるRBL-2H3細胞内へマイクロインジェクトし、上記(1)のシステムを用い観察を行ったが、プロテインキナーゼCに由来する蛍光の偏光解消現象は観察されなかったため、現在、抗プロテインキナーゼC抗体の別な位置に蛍光物質を結合させることを進めている。 3.新規蛍光物質(Fim-1)を用いた細胞内プロテインキナーゼCの動態解析 プロテインキナーゼCを特異的に蛍光標識する新規蛍光化合物(Fim-1)を入手し、これをRBL-2H3細胞内にマイクロインジェクトし、上記(1)のシステムで解析した結果、生きた細胞でのプロテインキナーゼCの細胞内動態の解析に成功した。また、得られた結果は、固定細胞を用いた蛍光免疫組織化学的手法による結果と非常によく一致していた。(Neurochem.Res.in press;J.Cell.Biol.投稿準備中)。 4.RBL-2H3細胞におけるプロテインキナーゼCの機能解析 プロテインキナーゼCγをRBL-2H3細胞内にマイクロインジェクトした結果、プロテインキナーゼCγは他のプロテインキナーゼCアイソザイムの働きを特異的に抑制し、その結果プロテインキナーゼCβあるいはδによる開口放出を阻害することを発見した(Molecular Biology of the Cell 5,474-484(1994); Neurochem.Res.19,877-(1994))。
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