研究課題/領域番号 |
06772158
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
松井 勝彦 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (20257140)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | サルモネラ感染 / 免疫抑制 / マイトジェン / T細胞 / 菌体抽出物 / IL-2産生 / IL-2レセプター / IFN-γ産生 |
研究概要 |
細胞内寄生性細菌によって誘導される感染宿主の免疫抑制機構をマウスにおけるサルモネラ感染をモデルとして解析した。感染宿主の免疫抑制機構のひとつとしてT細胞からのIL-2産生阻害およびIL-2に対するT細胞の不応答性という現象が既に確認されているので、平成6年度は、主にT細胞におけるIL-2応答低下の誘導機構を解明することを試みた。その結果、以下のことが明らかになった。 1.サルモネラ生菌より菌体無細胞抽出液(可溶性分画)を調整し、実験に用いたところ、in vitroにおいてサルモネラ菌体抽出物は、マイトジェンで刺激されたT細胞の幼惹化を強く抑制した。 2.1.で認められたT細胞幼惹化抑制は、サルモネラ菌体抽出物中のタンパク成分によって誘導されることがわかったが、プロテアーゼによるIL-2のdigestionまたは、IL-2とIL-2レセプターの結合阻害というような機構によるものではなかった。さらに、活性化T細胞上のIL-2レセプターを介した細胞内情報伝達系の阻害によるものでもなく、むしろIL-2レセプターα鎖の特異的過剰発現の程度とよく相関していた。 3.1.および2.に示された現象は、抗IFN-γ抗体の処理によって通常のレベルまで回復した。また、両現象は、従来より報告されているようなマクロファージからのNitric oxide産生を介した機構を伴っておらず、新たな免疫抑制機構の存在が示唆された。 4.1.2.および3.の現象は、実際のサルモネラ感染マウスにおいても認められた。従って、サルモネラ感染によって誘導される免疫抑制現象の一部は、サルモネラ菌体内に存在する特定の非プロテアーゼ性タンパク質によって誘導されている可能性が示唆された。また、その機構の一環として本タンパクがIFN-γ産成系を介して感染宿主のT細胞を阻害していることが示された。 現在、この特定タンパクを抽出、精製することを試みており、さらに詳細な機構を解析していく予定である。
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