研究課題/領域番号 |
06772169
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
芝本 さゆみ 摂南大学, 薬学部, 助手 (80178920)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | カドヘリン / カテニン / 肝細胞増殖因子 / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
肝細胞増殖因子/Scatter factor(HGF/SF)によりin vitroにおいて惹起されるscatteringはin vivoにおける癌細胞の浸潤・転移との関連が予想され、非常に興味深い。私は、通常接着している細胞間が、HGFによるscatteringによって一時的にはずれた結果、浸潤あるいは転移する可能性を考え、細胞間接着因子カドヘリンの機能にとって必須であるカドヘリン結合タンパク質のチロシンリン酸化について検討してきた。その結果、a-、β-カテニン、プラコグロビンの3種のうちβ-カテニン、プラコグロビン、ならびに、115kDaの未知の分子にチロシリン酸化の上昇が起こることを発見した。そこで、カドヘリン結合タンパク質の変化とガン化との関係についてさらに考察することを目的に、115kDa分子の同定を試みた。 細胞の形質転換に関与するチロシンキナーゼ基質p120が、β-カテニンとプラコグロビンと相同性がある事が報告されたことから、p120がE-カドヘリンに結合するか、115kDaの未知の分子であるのか検討した。p120とE-カドヘリンを免疫沈降すると、互いに共沈すること、さらに、p120と既知のカテニン、a-、β-カテニン、プラコグロビンが共沈することを見いだした。また、p120はカドヘリンと同じく細胞間に局在していることを免疫組織染色により示した。つまり、p120はカドヘリンカテニンと共に細胞間接着に関与していると考えられた。さらに、p120はHGF/SFの刺激に伴い、そのチロシンリン酸化レベルが劇的に変動し、そのパターンはβ-カテニン、プラコグロビンと同様であったことから、115kDa分子はp120であると結論した。カドヘリンを介した細胞間接着に係わる分子が、細胞の形質転換につながる何らかの情報伝達系の一員である可能性を示す重要な知見を得ることができた。
|