研究概要 |
1.D,L-ハイブリッドドデカヌクレオチド(3)のNMRによる構造解析 (3)の重水中でのDQF-COSY,NOESYスペクトルを測定し、その解析を行ったところ非天然型L-ヌクレオチド残基であるG4残基の糖部はstandardなS-型のコンホメーションをとっていたが、グリコシド結合まわりのコンホメーションはDNAとしては非常に稀なLow anti型をとっていることが明らかとなった。 2.D,L-ハイブリッドドデカヌクレオチドの二重らせん構造の熱力学的安定性 次に(1)〜(5)の二重鎖としての安定性を評価するためTm値の濃度依存性を調べ、van't Hoff plotにより熱力学的パラメータの算出を行ったところ、L-ヌクレオチドの導入によって二重鎖形成の自由エネルギー変化(ΔG^。)は概ね4Kcal/mol小さくなっていることがわかった(Table 1)。これは12残基中L-ヌクレオチドを5〜6残基導入すると二重鎖を形成できなくなることを意味しており、L-オリゴヌクレオチドがDNAと二重鎖を形成できないという報告とよく一致している。 3.新規アンチセンスヌクレオチドの設計 以上の結果から、L-ヌクレオシドをベースにした新規アンチセンス分子として、グリコシド結合まわりのコンホメーションをLow anti型に固定したヌクレオシドアナログ(図1,6〜9)が考えられる。
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