附子含有製剤の煎じ方法のより適切な指導を確立することを目的として、研究実施計画にしたがい、今年度以下の研究実績をあげた。 附子含有生薬である川烏頭を用い、附子の主要含有成分であり、副作用を引き起こす原因物質であるアコニチン、メサコニチン、ヒパコニチン及び総アルカロイドを対象に、容器の違い(自動煎じ器、土瓶またはホ-ロ-ポット)、煎出開始時の温度の違い(25、40および97℃)、ろ過方法の違い(茶こしあるいはティーパックを用いて、煎出直後あるいは煎出終了1時間後にろ過)などの種々の煎じ条件下における移行率及び分解率を検討し、最適な煎じ条件を模索した。 ホ-ロ-ポットの使用は、煎液の総アルカロイド量に影響を与えず、毒性の高いメサコニチン含量を他の容器と比べて有意に低下させた。煎出開始時の温度及びろ過方法の違いはアルカロイドの煎出にほとんど影響しなかった。ただし、煎出60分後、1時間放置してからろ過することにより、アコニチン系アルカロイド含量、特にメサコニチン、は増加傾向を示した。今回の一連の検討から、附子含有の煎じ薬を処方された患者に対しては、ホ-ロ-ポットを使用し、60分間煎じた後、なるべく早く(1時間以内)ろ過する煎じ方法を指導することが望ましいことが示唆された。このことは附子単独ではなく、附子製剤においても同様の傾向が認めれている。ただし、含有生薬間相互の煎じ方法に及ぼす影響についてはまだ検討段階であり、当該目的に沿った研究成果はまだ得られていない。
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