研究概要 |
1.臨床的検討:当院検査部に提出されたCRP定量検体より低濃度域の症例とプレドニソロン治療患者血清を用い,IL-6ならびに、急性相反応蛋白(Serum amyloid A protein(SAA),α_1-Antitrypsin,α_1-Acid glycoprotein,Haptoglobin,補体C3)を測定した。CRP低濃度域症例におけるIL-6およびSAAとの相関,プレドニソロン投与量別のCRPとSAAの変動,悪性リンパ腫,ネフローゼ症候群・SLE・腎移植拒絶反応患者の入院時からのIL-6ならびに,急性相反応蛋白の変動について検討した。臨床症例ではステロイドホルモンの投与量に対応して,CRPのみが他の急性相反応蛋白に比べ有意に低下した。また,IL-6の変動に必ずしもCRPの変動が一致しなかった。上述の臨床的検討結果については,現在投稿準備中である。 基礎的検討:Hep G2細胞を10%FCS加DMEMで培養し,ヒトマクロファージをLPSで刺激して調整したmediumおよびIL-1α,IL-1βおよびIL-6を添加し,CRPを誘導させる系を作り,ステロイドホルモンで各種刺激を行いその反応を見た。CRPの測定はその培養液を用いELISAにて微量定量を行い,さらにSDS PAGE後Westernにて blot CRPを確認した。細胞はGuanidinium/hot/phenol(Feramisco 5,1982)および市販RNA精製キットを用いてtotal cellular RNAを抽出し凍結保存した。CRPの遺伝子レベルの発現を見るためにCRPの塩基配列をもとに,特異的なプライマーおよびプローブを設計し,PCRを用いて遺伝子を増幅しCRP mRNAの検出法を検討した。今後,下垂体ホルモン・女性ホルモン・インスリンなどの各種ホルモンによる刺激を行いCRP産生の影響について蛋白レベルでのCRP値および遺伝子レベルでのmRNAの測定を行い,さらに究明していく予定である。
|