スカートの拘束性に関する問題のうち、ウエストベルトによる締め付けとスカートの裾幅が動作へ及ぼす影響について検討した。 初めに、9名の女子学生を対象にウエストベルトの締めと圧迫感の関係を調べた。立位の状態で、2.5cm幅のインサイドベルトを快適と感じる程度にウエストに巻き、これより、2cmずつ詰めながら可能な限り締めていった。この間、ベルトにかかる張力をストレインゲージで計測した。また、スライデングゲージにより曲率半径を求め、前中心、脇、後ろ中心位置におよぶ衣服圧を推定した。 ベルトにかかる張力は、場所により値が大きく異なる場合がみられ、摩擦と人体の変形挙動が関与すると思われた。曲率半径は後ろで大きく、脇で小さく、また、締めとともに小さくなる傾向がみられた。その結果、算出した衣服圧は、曲率半径の影響を受けて脇で高い傾向を示した。 個人差があるものの、ベルトの詰めの増加ともに圧迫による不快感が増す傾向がみられた。丁度よい締めで快適と感じるのは、全被験者の平均締め率で3.6%平均衣服圧は、18gf/cm^2であった。 次に、スカートの丈と裾幅が、動作に及ぼす影響について調べた。被験者女子学生6名を対象に自転車こぎと踏み台昇降の場合について実験を試みた。タイトスカートは、膝上10cm、5cm、膝丈、膝下5cm、10cm、フレア-スカートには、タイトスカートのウエストダ-ツ8本の位置で0°、3°、6°、7.5°開いたものを製作し着用した。 自転車こぎにおいては、タイトスカートの丈が長くなるとこぎにくさの感覚がましたが、スピードや脈拍には影響が及ばなかった。また、フレア-スカートの着用実験では、裾幅が狭いとき段の昇降に支障をきたすことが、感覚評価と動作の様子から観察された。段の高さとスカート丈の増加によってこれらの傾向はより顕著に表れた。
|