本研究では、スキーヤー同士の衝突事故を防止するための危険予知プログラムの基礎となる衝突危険場面のシミュレーション映像の作成及びプログラムの方法を試みた。 シミュレーションに利用する映像として、(1)スキーヤーの頭(額)部分に超小型CCDカメラを装着し、滑走中の視野をVTR撮影をしたものと、(2)ゲレンデ下方からカメラを固定して一般スキーヤーの滑走する様子を撮影したものの2種類撮影した。収録したVTRテープより、他のスキーヤーと衝突する場面、あるいは衝突しそうになる危険(ニアミス)場面を抽出し採用した。 採用した危険場面については、斜直パターン、停直パターン、同降パターン、平行パターンの4種類のパターンを基本に、その場面に潜む次の瞬間の危険を予測することができる内容とし、衝突の危険の予測、結果を回避するために必要な行動、滑走中のスキーヤーの視野と技能レベルについて、予測可能なものを精選して10件の例を作成した。衝突事故の要因とスキーヤーの視界との関係を検討するためにさらに、滑走中の場面で、衝突危険場面の断片的映像を初中級者に呈示し、その場面に潜む危険についての質問項目、コメントなどプログラムの方法については引続き検討する。 本研究では、(1)の収録については、被験者が危険に遭遇する機会の少なかったことと、転倒などからVTR機材を保護するという面から、採用できる場面がごく僅かであったものの、危険予知プログラムとしての期待できることがわかった。今後、シミュレーション映像の撮影カメラ位置を変更してさらに危険予知プログラムの精度を高めたい。
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