研究課題/領域番号 |
06780077
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
菊 幸一 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (50195195)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | プロフェッショナル・スポーツ / 成立形態 / 比較社会学 / 日本 / イギリス / フィギュレーション社会学 / スポーツ社会学 / 歴史社会学 |
研究概要 |
近年の英国におけるスポーツ社会学の理論的潮流は、明かにネオ・マルクス主義的なカルチュラル・スタディズとエリアス派のフィギュレーション社会学の対立、拮抗にその特徴がみられるが、スポーツからプロ・スポーツへの成立・発展の説明的視点としては、いずれも社会階級概念の重要性とその柔軟な適用が共通してみられる。しかし、前者はあくまで最終的には経済的要素にその要因を還元しようとするが、後者は多様な階級間格差の権力関係それ自体が流動化していく中で、そのダイナミズムやプロセス自体が関係のネットワークを張り巡らし、その関係性が複雑なスポーツの組織的、制度的構造を編み上げ、結果的には自律的なスポーツ制度確立の頂点としてプロ・スポーツが成立していくものと考える。一方、わが国のプロ野球を対象としたプロ・スポーツ成立への視点としては、社会階級概念よりもシステム論的なマクロな制度論の立場から、経済的要素のスポーツ制度への介入、利用に焦点を当てるものがみられる。他方、今日のサッカー・Jリ-グの成立にみられるように単に経済的要素の介入、利用に還元され得ない地域スポーツ文化論として位置づけられるプロ・スポーツのあり方、さらにはスポーツ・ネットワークに広範に位置づけられるスポーツ・プロフェッショナリズム再考の動きもみられる。本研究では、上記のプロ・スポーツ成立に関する4つの基本的な特徴を明らかにし、その異同を考察したが、両国の「比較」の研究に耐え得る共通の歴史社会学的な分析枠組みを析出するまでには至らなかった。しかし、理論的な特徴を示す文献解題やそのデータベース化はかなりの程度まで進み、両国のプロ・スポーツ成立史に関する社会学的論議をある程度整理することができた。今後は、フィギュレーション社会学の立場から統合的な研究視点を模索すると共に、各種目におけるプロ化過程の共通性を歴史社会学的に解明することが課題である。
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