3日齢、7日齢、11日齢、15日齢、19日齢、23日齢、18週齢のラットを対象に、ヒラメ筋および横隔膜におけるミオシン重鎖(Heavy chain; HC)の発育に伴う変化について、電気泳動学的検討を行った。3日齢のヒラメ筋では、HCIが約50%を占め残りの50%は胎生期に特異的に発現するHCembであった。HCIの占有率は23日齢まで大きく変化しなかったが、18週齢では100%となった。7日齢から23日齢までの間、わずか(6%前後)ではあったが幼若期にのみ発現するHCneoが観察された。HCembは発育に伴い漸次減少し、19日齢以降は検出されなかった。また、HCIIAは15日齢から発現され始めた。横隔膜については3日齢ではHCIIA、HCemb、HCneoおよびHCIの4種類のアイソフォームがみられ、HCIは発育に伴って漸増し、18週齢では約25%を占めた。一方、HCneoは減少し続け18週齢では全く発現されていなかった。HCembは前述のように3日齢では観察されたが、7日齢以降は全く検出され無かった。HCIIDは15日齢から検出されるようになり、以後漸増した。また、ミオシン軽鎖(Light chain;LC)の変化についてもあわせて検討し、同一の筋であってもfast type LCとfast type HCは同期して変化するわけではないことが認められた。したがって、発育期には成熟した個体とは異なる特異的なミオシン分子が存在することが示唆された。
|