ヒトの骨格筋が長期間使用されなかったとき、筋の収縮機能の変化に応じて運動ニューロンの活動がどのような適応を示すかを知るため、5名の被験者の第一背側骨間筋に6週間のギプス固定を施し、その前後で電気刺激による筋収縮特性及び随意収縮時の運動単位平均発火頻度を記録して、それぞれを比較した。その結果、100Hzの最大刺激による筋の強収縮張力は有意に低下し、さらに、張力-刺激周波数曲線に大きな変化が認められた。一方、運動単位の平均発火頻度は20、40、60、80%MVCの各張力レベルにおいて顕著に低下し、発火頻度上昇率も有意な低下を示した。これらは、運動単位の発火頻度変調幅がギプス固定によって狭くなったためと解釈できた。 以上の結果より、ギプス固定によって筋活動を抑制した際、筋の収縮機能と随意収縮中における運動単位の活動様式は、お互い機能的に対応した変化を示す事が明らかになった。
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