本年度は、中学生のスポーツ選手を対象に、近年ストレス緩衝要因の影響が重要視される中でのソーシャル・サポート(社会的支援)の果たす役割について検討することを研究の主な目的とした。標本は、福井県内の中学校の運動クラブに所属する生徒96名(男子56名、女子40名)であった。ソーシャル・サポート尺度の測定には、久田・千田・箕口(1989)によって作成された学生用ソーシャル・サポート尺度(The Scale of Expectancy for Social Support:SESS)の中学生版16項目を一部スポーツ選手用に語句を修正したものを用い、5つのサポート源(父、母、兄弟、学校の先生、それ以外の友人・知人)に対して4段階で評定を求めた。また、ストレス反応尺度の測定には、岡安・嶋田・坂野(1992)によって作成された中学生用ストレス反応尺度46項目を用い、4段階で評定を求めた。ソーシャル・サポートのサポート源別得点は、「母」、「友人」が最も高得点を示し、次いで「先生」、「父」、「兄弟」の順であった。また、1年と3年の「先生」を除いて、女子が男子よりも高得点を示しており、「友人」ではその差が顕著であった。これは前述した岡安らの一般中学生を対象とした研究結果とほぼ一致するもので、女子のサポート期待が高いことが明らかにされた。ストレス反応尺度では「不機嫌」で男子が女子よりも、また、「無力感」では女子が男子よりも高得点を示したが、「抑うつ」、「身体的反応」では一致した結果はみられなかった。
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