本研究は行動地理学の立場から、都市居住者が外出型レジャー、すなわち観光およびレクリエーション行動において示す空間移動のパターン(空間パターン)について調査・分析することを目的とする。事例調査は、都市居住者の中でも余暇時間が長く、レジャーの形態が多様であることが予測される東京の大学生を対象に実施した。東京大都市圏にはレジャーの場となる地域や施設が豊富であり、居住者は必然それらと接する機械も多い。とりわけそれらを享受し易い立場にある大学生のレジャーの実態を調査することは、レジャーによる空間パターンの多様性を解析する上においても重要な意味を持つと考えた。また、一般的な事例として以前より蓄積してきた中年層に対する実態調査のデータとの比較を試みることにより、その特殊性を浮き彫りにすることも可能である。 事例調査では外出型レジャーの実態に関する調査と題して、日本大学文理学部における2年生以上の学生に対してアンケートを実施した。アンケートでは習い事や飲み屋に行くこと、ゲームなど日常的な行動の範疇に入るレジャーについてはそれぞれの回数や目的地を回答させ、非日常的な行動の範疇に入る旅行・行楽については目的地ごとに時期や主要目的、同行者等を回答させる形式とした。現在、得られたデータの集計中であるが、その集計データに基づいて大学生の日常的および非日常的な行動それぞれの空間パターンを分析し、さらに両者を総合することで外出型レジャー全般によって生じる空間パターンの重層的な構造を明らかにする。また、アンケートでは回答者の居住地や授業・アルバイト時間、レジャーの経費等の情報についても回答を得ており、これらのクロス集計によって行動者の属性の差異によって生じる空間パターンの相違についても分析を試みたい。
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