研究概要 |
本研究の目的は,確率概念を学ぶ学習者に焦点を当て,学習者が持つ主観的確率概念をシステムが推論することをねらっている。本研究成果の概要は以下のとおりである。 1.学習者が持つ主観的概念モデルの構築 確率に関する科学的概念と非科学的概念の形成状態を調査によって実証的に明らかにした。その結果,誤り概念を明確にし,学習者モデルを構築した。 2.主観的概念及び概念形成を認識する推論システムの構築 学習者の主観的概念と誤った概念をパソコン上で操作可能な形式で表現した。そして,システムが簡単な問題を出すことによって,学習者が持つ主観的概念と誤った概念の推論を試みた。システムが推論する際,予期できなかった困難点が多く生じたため,正しい推論結果を得ることが困難であった。 3.コンピュータ利用の確率・統計教材の開発 小学生でも理解できるような確率・統計教材を開発し,パソコン上で実行可能にした。しかし,推論システムを利用した教材開発はできなかった。これは,パソコンのマンマシーンインタフェースの限界と,主観的概念を推論することの困難性に起因しており,今後の課題である。
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