研究概要 |
情報教育の演習場面を対象として,集団形態による学習の進行を制御するメカニズムを検討し,学習活動を支援するシステムに適用できるモデルの開発を行うために,以下のような研究を行った. (1)初学者を対象として行われる大学の情報教育演習場面をVTRで記録し,集団学習場面における制御機能を中心とする教授者の役割について分析した. (2)キーボード・エミュレーション装置と既存のLANを用いて,複数の個別学習支援機と学習集団全体の学習進行制御を目的とする集団学習支援機との間で,相互に調整を図るメカニズムについて検討し,コミュニケーションの「場」とそこでの情報を伝達する「エージェント」の考え方が有効であることについて考察した.さらに教授者は「エージェント」同士のコミュニケーションを制御する「スーパーエージェント」の役割を演じる必要があることを検討した.この点に関しては、現在のようなVTRによる学習場面の記録・分析方法では十分に詳細なデータを取得することが不可能であることが明らかとなった. (3)教授者の学習制御に影響する項目のひとつとして,学習対象の違いによる進行制御への影響について検討した.学習期間や学習集団の特性の違いによる学習制御に影響を与えると予想される要因(特に操作不安やテクノロジー不安等)に関しては,扱う題材や指導方法を工夫することにより,ある程度,影響を抑えることができ得ることが明らかとなった.また操作演習等では、少人数クラス編成の効果も期待できることが明らかとなった. これは,多人数の演習において,集団形態の個別学習支援メカニズムを適用することが有効である裏付けと考えられる.
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