研究概要 |
本研究では,学習者の問題解決の誤りを知識の適用の誤りとして捉え,学習者の誤答を正答とする問題の生成を,知識の適用の誤りに基づいた元の問題の変形として実現した.このために,「学習者の問題解決過程を診断し知識の適用の誤りを同定する機能」と「同定された知識の適用の誤りに基づいて元の問題を変形する機能」を作成した.力学の問題解決過程は立式過程であると考えることができるが,そのモニタリングは一般に困難である.本研究では,計算機上に立式用のツールを構築し,そのツールを用いて学習者に立式させることを前提として問題解決過程の診断機能を実現した.本ルーツは力学公式を問題に合わせて段階的に詳細化する複数の方法を選択肢として提供しており,立式の誤りはこの詳細化方法の適用の誤りとして診断される.さらに,元の問題を変形して学習者が誤って適用した詳細化方法が適用可能な問題を生成することによって,学習者の誤答が正答となる問題を生成する機能を実現している.直接変更すべき元の問題中のパラメータは診断機能より得ることができる.本研究においては作成した機能の妥当性は,本機能が生成する問題が学習者の誤りを修正するのに有効かどうかを数名の家庭教師経験者によって評価してもらうことにより行った.その結果,運用によっては効果的な誤りの認識修正支援が可能であろうとの評価を得た.
|