CAIシステムによるコンピュータ教育(プログラミング言語学習)での、画像・音声教示条件と学習効果との関係を分析するため、次の研究を行った。 1.文献研究 教育工学及び情報教育分野における、コンピュータ教育での教示条件と学習効果との関係を分析した研究資料を整理し、まとめた。資料を検討した結果、教材提示では現在の主流を占める視覚的(画像)提示が有効であるが、学習への興味等を向上させる点で、音声教示を加えたマルチモーダルな教示の有効性が示唆されている。また教示条件の効果は、学習者の学習段階によってかなり変動することが示唆されており、学習段階ごとに教示条件効果を検討する必要性が明確になった。 2.学習教材の作成 学習課題をプログラミグ言語(BASIC)の習得とし、学習行程を3段階に分け、それぞれの学習教材を作成した。さらに、各学習教材について指示説明教示として画像教示、音声教示、画像音声両教示を設定した。なお、各学習段階における学習成果を測定するための理解度テストも作成した。 3.実験用CAIシステムの構築 ワークステーションを使用し、上記学習教材の実験用コンピュータ支援教育システムを構築した。このシステムでは、学習者は教材提示の後、画像教示、音声教示、画像・音声教示の3条件のいずれかの教示を受けながら、プログラム事例を完成させる方式で学習を進めていく。 4.実験 本年度は、3.で構築したシステムを使い、予備実験までを行った。予備実験の結果、教示条件のほか、学習の繰り返し条件の設定と学習教材の適切性を再考する必要が生じた。これらの点を再検討し、実験データを増やし、画像・音声教示条件と学習効果との関係を分析する予定である。
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