本研究の結果として、連合王国の理科教育における環境教育の発達史に関して、以下のことなどが指摘できる。 1)例えば環境教育評議会(CEE)は、理科教育協会(ASE)、英国環境教育協会(NAEE)、野外研究評議会(FSC)、英国校長協会(NAHT)、BBC教育、WWFのほか70以上の団体で構成されているように、現在、王室を始め、多様な団体が全国的に環境教育にかかわっていると言えること。 2)理科教育における環境教育は、「領域としての環境教育」・「科目としての環境教育」・「総合教育(カリキュラム横断型テーマ)としての環境教育」の三つの形式に分けてとらえられること。 3)理科教育論文に見られる最も早期の環境教育は「領域としての環境教育」で、1960年、マンチェスター・グラマ-スクールのシックス・フォームでの文系生徒向け理科科目「ヒトの生態学」であること。 4)当初の「領域としての環境教育」では、人口・食糧・資源・農薬・喫煙・大気汚染などの問題が取り挙げられ、現在では、エイボン州の中等学校第3学年「統合理科」では35分授業で15時間(120時間中)で、ワークシートなどを活用しつつ生徒中心的学習が行われていること。 5)「科目としての環境教育」では、16+・18+試験において「環境学習」・「環境科学」・「環境」・「科学(環境的)」などが開設されており、学校において「オープニング・ドア-ズ・フォー・サイエンス」、「環境についての教授=学習」などの各種ガイドラインやプロジェクトが開設されていること。 6)「総合教育としての環境教育」では、英国ナショナル・カリキュラムのように、カリキュラム横断型テーマとして「環境についての教育」・「環境における、また、それを通しての教育」・「環境のための教育」の三つの要素が取り上げられていること。
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