研究課題/領域番号 |
06780208
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本語教育
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
戸村 佳代 明治大学, 経営学部, 助教授 (70197945)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 譲歩文 / 主節の省略 / ノニ / テモ / 複文 / 前提 |
研究概要 |
研究計画に基づいて、分析対象となる、主節が省略された複文の実際の使用例を約200例収集した。このうち、「〜カラ。」「〜ノデ。」については、白川(1990)「『カラ』で言いさす文」等の研究もあることから、本研究では、これらの研究成果を参考にしつつ、逆接あるいは譲歩文と呼ばれている「〜ノニ。」及び「〜テモ。」に焦点をしぼって分析をすすめることとした。また、この決定にともない、主節の省略を伴わない完全な文として出現する「ノニ」「テモ」の使用例を約150例追加収集した。例文収集にあたっては、一般の雑誌、小説のほか、パソコン通信によって得られるテキストデータ(新聞記事、小説、等)も利用した。 従来、「PノニQ。」(eg.雨が降るのに出かけた。)や「PテモQ。」(eg.雨が降っても出かけた。)においては、「Pならば-Q」(eg.雨が降るならば出かけない)を前提にする、と言われてきたが、本研究で収集したデータにあたって検討した結果、この前提が成立しない場合が数多くあることが明らかとなった。また、「予算がないのに無理に買わなくてもいい」などのように、理由の「カラ」と置き換え可能(=予算がないから無理に買わなくてもいい)となる例も見つかっている。上記の前提について再検討を加える際に有用なものであると考える。 さらに、日本語母語話者を対象として、(1)従属節・文脈から得られる情報の質・量を変化させた場合に、省略された主節の解釈がどのような影響を受けるか、(2)同一の文脈・従属節に対して異なる接続助詞を伴わせた場合に主節の解釈がどのように変化するか、を調べる実験を行った。この結果については、現在分析の作業を進めている。使用例の分析と併せて、省略された主節を解釈するメカニズムを明らかにしていきたい。
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