研究概要 |
近年、並列計算機がワークステーションのシリーズとして発表されるようになり、商用データベースシステムとしても並列処理を導入したものも現れるなど、並列処理によるシステムの効率化を目指すことが急務となっている。しかし、現在の並列商用データベースでは異なるプロセッサ上の処理毎のプロセスを割り振っただけの単純な並列化処理方式を採用しているものがほとんどであり、データベースシステムに内在する並列性を十分にひきだしているとはいえない。特に、近年データベースシステムとして中心的な存在となった関係データベースシステムはその処理負荷が重く、並列処理による性能向上が期待されており、この2〜3年のデータベースシステムの研究課題として着目を集めている。 本研究の目的は、複数の結合演算を主とする複雑な問い合わせに対する並列処理化とその最適化について考察し、与えられた並列環境の中でその計算機資源(プロセッサ数、メモリ容量、ディスク数)と対象となるデータの大きさ、データの分布などから最適な処理性能が得られるように動的に処理を各プロセッサに割り付けることで、並列処理効果をより高める最適化技法を開発することである. まず,計算機資源を対象とした並列データベースシステムの問い合わせ最適化処理を構築する上でのキ-パラメタを求めるため、実行時に動的に変動するパラメタを検討し効率の良い並列処理性能を得るための要件を考察を行なった.次にここで得られた知見を元に、特に複数の結合演算の問い合わせを対象とし、実行時に生じる各プロセッサ間の負荷の変動を反映することが可能な木構造を生成するような静的な最適化技法を設計をおこなった.本最適化技法の有効性を確認するため、現在の並列計算機の環境を充分反映し、並列データベースシステムに特化したシミュレータをワークステーション上に作成し,本研究で提案した最適化処理技法を実行し、従来提案されている静的最適化技法との性能比較を行ない、本研究の有効性を確認した.
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