研究概要 |
本研究は,分散コンピュータシステムにおいて,システムの時間的変化に対応してシステムの計算資源の配分も変化する動的な資源配分アルゴリズムの開発と性能評価を行うことを目的とする. 1.分散コンピュータシステムのシミュレータを作成し,本研究で考案された資源配分のアルゴリズムのシミュレーションおよび性能評価に使用した.従来の資源配分アルゴリズムについては,多くの文献を詳細に検討し,その中から代表的なもの(Eager's Shortest Algorithm)を選び,本研究のアルゴリズムとの比較評価を行った. 2.本研究で考案された,定期的にシステムの負荷情報を収集する(周期的な)資源配分アルゴリズムと,必要に応じてシステムの負荷情報を収集する(非周期的な)資源配分アルゴリズムとの両方は,コンピュータ上での実行中の仕事数のみでなく,コンピュータ間のコンピューティングパワーの相違をも考慮に取り入れ,各コンピュータでの予想される応答時間(Virtual Delay)がバランスよくなるように,実現され,現実的なシステムに近い諸システムパラメータを用いて性能の検証,考察を行った.その結果,広範囲のシステムパラメータに対して,この二つのアルゴリズムは,互いに性能面における大きな差異は見られなかったが,従来のアルゴリズムに比べて,均一的なシステムにおいては,同程度の性能,更に非均一的なシステムにおいては,ずっと高い性能を持つことが示された. 現在は,これまでに得られた成果の上にさらに研究成果を積み重ねるべく進行中である.
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