| 研究概要 |
故障耐性のある分散アルゴリズムの設計において,故障を推定し,その故障推定を利用することの有効性を示した.
1.多数の計算機がネットワーク接続された分散システムにおいて,計算機の一時的な故障により計算機内のデータが破壊された場合に,自動的にシステム全体を正常な状態に戻し,計算を続行できる分散アルゴリズムは,自己安定アルゴリズムとよばれる.本研究では,自己安定アルゴリズムの設計法の一つとして,故障によって生じたデータの矛盾を検出することにより故障を推定し,それに対処することによりシステム全体を正常な状態に戻す方法について検討した.そして,一時的な故障だけでなく.永久的な故障が混在する場合にも,自己安定アルゴリズムのこの手法が有効であることを示した.
2.自律移動ロボット群からなる分散システムにおいて,いくつかのロボットが故障により動作できない場合に,故障していないロボットが協調して作業を行うための分散アルゴリズムを提案した.本研究では,まず,故障していないロボットだけからなるグループを構成し,このグループ内のロボットが互いに他を認識するための分散アルゴリズムを開発した.そして,このグループに属さないロボットは故障していると推定し,それらを無視することにより,故障耐性のない分散アルゴリズムを故障耐性のある分散アルゴリズムに変換する汎用性のある手法を示した.また,アルゴリズムの開発には,本研究では開発したシミュレータを利用した.
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