研究概要 |
リンク構造データベースであるオブジェクト指向データモデルを対象として,関係データベース理論における従属性制約についてついて研究を行い,データモデル統合のための基礎を築いた. データモデルを統合する際に,データベースに蓄えられたデータの正しさ,すなわちデータ一貫性を保証しなければならない.そのためにオブジェクト指向データベースのスキーマのよい性質を明らかにし,意味制約として与えられた従属性集合を満たす一貫したデータを保持するためのデータベースの構造を明らかにした.関係データモデルでは,与えられた関数従属性集合をそれぞれの関係で満足していてもデータベース全体としては満足しない場合があることが知られているが,リンク構造を用いることにより局所的な一貫性が全域的な一貫性を保証できることを示し(投稿準備中),これを用いたオブジェクト指向データベースの設計法を開発した. この結果を用いれば,関係データモデルとオブジェクト指向データモデルを統合する際の関数従属性に関する意味制約の保持法を得ることができ,データの対応関係が一貫性したデータモデルの統合を行うことができる. これらと平行して,一貫情報の保持という点から,従来は直列可能性を正当性の基準としていた並行処理制御方式を拡張し,一貫性情報が与えられればより広範囲となる正当な並行処理制御が行えることを示した.
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