これまでの研究により以下の知見が得られた。 1.芸術の分野では、様々な素材を用いて様々な手法によって彫刻がなされている。例えば、素材としては、粘土、木材、石膏、プラスチック、石材等があり、それらの持つ質感、手触り、印象、加工の容易さは大きく異なっている。作成手法としては、針金等の線材によって骨格をまず作りそれに肉付けを行う方法、大まかな配置を行って全体のバランスを最初に決め、その後で手、へら等で細部をデザインしていく方法、また石のような固い素材に対しては上面、正面、側面に2次元的にデザインを行ってから3次元の加工を始める手法等が挙げられる。 2.芸術の分野の手法を計算機上に実現することは、手法によっては特別な入力装置を用いなくとも実現可能である。例えば、線材の骨格のように立体の中心線のだいたいのデザインを行ってからそれに肉付けを行う手法を既存の計算機にソフトウェアとして実現することは可能であり、現在そうしたソフトウェアを開発している。 3.特殊なハードウェアを必要としても、人間にとっては自然な入力方法として10本の指による入力等があげられる。これらの手法を実現するには、指が素材から受ける力のフィードバックは不可欠であり入力装置の開発を必要とする。 以上の結果を会津大学テクニカルレポートとしてまとめる予定である。今後の研究としては、芸術の分野の手法を可能なものはまずソフトウェアとして実現しその適用の良否を判定する。また、特別なハードウェアを必要とするものについてはハードウェアの設計も行って行く予定である。
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