概念設計は高度に創造的な活動であるため、その計算機支援は非常に困難とされている。本研究は、要求機能に対する設計解をいくつか提示するという支援方法をとる。 まず、機能系統図(Functional Diagram:FD)と呼ばれるダイヤグラムによって、実在設計物をモデル化する。これを、説明に基づく学習システムの説明木生成エンジンを変更することによって実現した。FDの末端においては物理因果関係が連鎖を形成しており、個々の物理因果関係にはその成立の構造的条件が付与されている。FDを一般化した後その部分木をチャンク化することによって、断片的な設計知識が獲得される。次に、この知識を再構成することによって新たな設計解を表すFDを作成する。この時、組合せ爆発の回避と、概念設計解の“良さ"の定量的な評価が困難なことを考慮して、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)の枠組を導入した。再構成されたいくつかのFDを一つの世代とし、発現する物理因果連鎖(ならびに構造的制約条件の集合)がシンプルなほど次世代の親となる確率を高くする。木構造をFDに対しては部分木の入れ換えによって遺伝子の交叉が実現できる。世代が進むにつれて、同じ機能を達成する中でもシンプルな設計案が生成される。 以上のGAに基づく概念設計解候補生成システムを計算機上に試作して動作確認を行った結果を、学会の論文集に投稿中である。
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