多重に折り重なる紙の構造を2分木のリスト構造を用いて表現することにより、リアルタイム操作のための高速処理に適応する紙のモデルを考案し、C言語のプログラムにより実際にインプリメントした。また、これを拡張して曲げも考慮した拡張された紙のモデルを実現することができた。これをもとにマウス入力によりグラフィックス画面上でインタラクティブに紙を折ったり、曲げたりすることができるインタラクティブシステムを実現した。また、システムのリアルタイム性についてのいくつかの実験を行った。モデルの変更に必要な処理とグラフィックスの描画に必要な処理についてそれぞれ独立に計算時間を測定し、双方についてリアルタイム性が十分に保持されていることを確認した。本システムはコンピュータグラフィックスを利用したインタラクティブシステムの基礎技術を含んでおり、今後更に高度な機能をもつインタラクティブシステムを実現していく上での基本モデルになるであろうと考える。研究成果については、6月末にオーストラリアにて開催されたCG International'94国際会議において"A Virtual Folding Simulator with Curved Surfaces"という題で発表し、絶大なる評価を得ることができた。また本研究は、本会議に出席のスイスのNadia Thalmann教授の薦めにより"An ORIGAMI Playing Simulator in the Virtual Space"という題で英文論文誌に掲載されることが既に決定している。
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