柑橘果実は各々独特の形状をしており、またその微視的な凹凸構造により独特の光の反射特性を有している。さらに実を付けてから色付き、そして朽ちていくという生物ならではの経時的な形状及び色彩の変化を伴っている。本研究ではCGによる果実の色及び形の経時変化を表現するための基礎的実験を行った。 (1)形状及び色特性の測定実験 蜜柑などの柑橘系果実の形状を測定すると共に農協による完熟度を示すカラーチャートを利用し、CDモデル構築のためのデータ収集を行った。 (2)CGモデルの構築 (2.1)形状モデル 基本形状を双3次Bスプライン曲面で表現し、表面の自然な揺らぎ形状をフラクタル手法により実現した。更に、柑橘系果実形状に独特の特徴を与えている表面の細かい凹凸を形成している油胞を正規分布の確立密度関数を用いて表現し、これをフラクタル処理された基本形状にバンプマッピングさせる方法を開発した。 (2.2)色モデル 柑橘系果実の色は生長に伴い、一般に緑から黄、そして橙へと変化していくが、変色は表面全体で一様に進行するのではなく、下方から上方へ、部分的にまだらに変化していく。この独特の変色過程を近似的に表現する色の経時変化モデルを開発した。 考案したモデルにより、果実の生長過程をCGによる動画で表現することに成功した。
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