本研究では、まずソフトウェアの修正・変更作業における要素作業を明らかにした。これは、出来上がった製品と、どのように変更すべきであったかという変更仕様から、論理的に必要不可欠と思われる作業ステップを抽出した。この際、変更作業の結果不具合が発生してしまったものに着目した。また、ソフトウェアの開発者が個人的に作成している「開発メモ」や「開発ノート」をもとに、上記で抽出した「作業ステップ」に欠けている部分や、その具体的な内容などを明らかにした。ここまでの解析結果を元に、「ソフトウェア変更における要素作業」のリストを作成した。 次に、実際の変更プロジェクトを選択し、その中で実際に行なわれている開発作業をモニターした。ここでは、開発者が使用しているネットワーク環境にパーソナル・コンピュータを接続し、各開発者が実際に行っている作業の記録を逐次取り、どのようなファイルを参照し、どのようなファイルに変更を加えたか、あるいはどのようなキーワードをもとに検索を行ったか、等を明らかにした。この後、開発者にインタビューを行い、どのように考えて上記のような作業を行っていたのか、何が気になっていたのか等を明らかにした。既に抽出した要素作業リストの検証を行った。 これらの結果、「ソフトウェアの変更における要素作業のリスト」を作成し、 1 ツールの開発が必要となる要素作業 2 容易化するために開発方法そのものを変えなければならない要素作業を 明らかにした。
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