研究概要 |
今回の研究においては,地域住民,医療機関(医師),システム関係者,システム開発者,行政のシステム担当者およびセンター職員,等の救急医療情報システムにかかわる関係者や学術研究者(学会出席者等)の多くから,救急医療情報システムに対するヒアリング調査,アンケート調査,意見交換,情報交換を行い.システムを様々な見地から総合的に分析を行った.とくに,医師への意識実態分析および意見交換を行うことにより,医療機関(医師)の立場からの救急医療情報システムの見方・考え方が把握できた.さらに,学術研究者から様々な意見交換をすることにより,総合医療情報システムからみた救急医療情報システムのあり方,および,救急医療システム(体制)の支援情報システムである救急医療情報システムの理想形態等を考察することができた.これらに基づいて,救急医療情報システムの総合的な構築案および推進案の設計を行った. 今回の調査・研究で,とくに,はっきりしたことは,現在の救急医療情報システムは地域住民の多くに高い評価を得て,高いニーズがあるものの,医療機関(医師)にとって必ずしもメリットのあるシステムだと言えない事である.そのため,医療機関(医師)の協力がなかなか得られず,運営にも支障をきたしているシステムもある.現在の日本では,医療の体制,構造および制度等にも,ざまざまな問題を抱えているため,今後の医療体制の変化と同時に,法的な規制等により,まず救急医療システム体系整備だけでなく情報支援を行っていく救急医療情報システムの配備・充実に努めていく必要がある.それとともに,救急医療情報システムを中心として,地域社会の医療情報化を積極的に進めていくことが大きな課題といえよう. 今後は,継続的な分析に加え,救急医療情報システムを中心とする医療情報システムの設計および改良の提案を行っていく計画である.
|