研究概要 |
商品市場における新製品の普及の問題について、解析的・数値的研究を行った。研究代表者は、既存製品の所有者数(n_1)、新製品の所有者数(n_2)、および既存製品と新製品の両方の所有者数(n_3)の3者からなる3元連立競争方程式について考察した。これは通常の新製品普及モデルとは異り、近年の経済成長のなかで、耐久消費財であっても一人が複数の製品を所有することは消費者行動として希な事象ではなくなってきていることを積極的に取り入れたモデルである。 解析手法によって長時間極限における平衡点を求め、アイソクライン法によって軌道を求めた。これにより、n_1,n_2のみの競争系においては競争力に劣るために、n_1がn_2に駆逐される性格の製品であっても、競合する複数製品の所有を許す場合は、優勢な製品と同時所有の形で市場を確保し続ける相が現れることが明らかになった。 さらに、n_1とn_2の相互転化(他の製品への買い換え)がおこることを考慮したモデルを考察した。このモデルでは、競争力に優る製品で既存の製品を駆逐する場合であっても、初期条件によっては市場を占有することはできない場合がある。現在、このモデルにおいてさらに、メーカーが定期的にモデルチェンジをすることによって競争力が時間的に変化することを考慮した、より現実に近いモデルを研究中である。 これらの研究成果について、論文投稿準備中である。
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