研究概要 |
1.三陸沖で発生した地震の高精度震源決定. 通常の震源決定では,主として陸の構造を考慮しているため,海底下で発生した地震の震源決定精度はかなり悪い.本研究では陸と海底下の構造の違いを考慮して震源を再決定した.その結果,海溝軸から陸に向かってプレートが潜り込んでいく様子が震源分布から明瞭に見て取れるようになった. 2.三陸沖で発生した地震のメカニズム解の推定. 上記の構造を用いると,メカニズム解も高い信頼度で求めることができる.得られたメカニズム解は海溝付近で非常に低角で,陸に近づくに従って広角になっていき,震源の分布と非常に調和的であることがわかった. 3.三陸沖の速度構造. 1で得られた走時残差の分布から,三陸沖の速度構造の推定を試みた.その結果,岩手県北部と青森県南部のすぐ沖では地震波速度がかなり大きいことがわかった.残念ながら,今回の解析では多項式の次数が低すぎて分解能が上がらず,低周波地震との相関は今のところ明瞭ではない.今後データを増やし,次数を上げて,高分解能で構造を推定する予定である. 4.広帯域地震計による低周波地震の検出. 広帯域地震計を用いて,低周波地震の検出を試みたが,本年度前半は三陸沖の活動が低調であったため,新たな発見はなかった.しかしながら,12月28日に三陸はるか沖地震が発生し,その余震を現在解析中である.これまでわからなかった,三陸沖北部の低周波地震の分布が明らかになることが期待される.
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