研究概要 |
これまで,外部電子注入によって高周波(rf)放電プラズマ中の空間電位分布を制御してきた.本研究では,この発展として,rf放電プラズマをパルス変調によって生成すると同様に電位分布が制御可能であり,この結果イオンの低エネルギー化が実現できると考えている.イオンは時間変化している空間電位の時間平均値V_<rf>/2を感じながら加速される.したがってrfシース内で無衝突であれば,イオンはeV_<rf>/2まで加速されて電極に到達する.ここで,V_<rf>は印加電圧V_<rf>(t)の最大値である.したがって,イオンが電場を感ずる時間(加速時間)を適当に選び,かつ,適当な加速停止時間を設ければ,すなわち,rf励起電圧のパルス変調をすれば,平均加速時間を制御できイオンエネルギーを低く抑えることができる.この制御方法を各大学で討論し,パルス変調方式がイオンの加速エネルギー制御に有効であることを示してきた.しかし,研究後半に広帯域高周波電力増幅器の納入の関係で,パルス変調rfプラズマを生成することはできなかった.当初の目的であるイオンの低エネルギー化は,外部電子注入法を用いて実現しているので,これに関して略述する.V_<rf>によるrfシースの変動がrf電流を駆動していることに着目し,一方の電極(接地電極)から電子注入を行なえば,rf電流を一部補うことになり,rfシース電位が減少することを示した.この結果,イオンの低エネルギー化が実現でき,注入電子流をrf電流程度まで増加すると,rfシース電位は電子温度に相当する電位(T_e/e[V])まで減少した.イオンエネルギーは,時間平均シース電位の減少に伴い,【similar or equal】eV_<rf>/2から【similar or equal】T_eまで減少することを確認した.
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