有限要素法は非構造格子をもちいて形状近似が容易であり、高速炉内の流動解析のソルバとしては非常に有力である。また、近年超並列計算機の発達がめざましい。これらの背景として本研究では、 (1)Element-by-elementな解法に基づく行列非記憶型の有限要素法解析コードを開発し、大規模な問題の取り扱いを可能とした。この解法は、ベクトル長が短いため従来型のスーパーコンピュータには向かないが、分散メモリ型超並列計算機にはそのパフォーマンスを有効に発揮できると考えられる。実際、並列計算機KSR1上に実装しループ分割に基づく高並列化効率を得た。 (2)相互結合型ニューラルネットワークのエネルギ最小化過程に注目し、それを非圧縮性流れ解析における圧力ポアソン方程式の解法に適用した。このニューラルネットソルバにおいて、節点間の依存性をなくし並列性を引き出すための手法としてCMC(Crazy Multi-Color)法を開発した。さらに、並列計算機KSR1上に実装し並列計算を行った。CMC法を適用しない場合には領域分割によって並列化効率が著しく低下する問題があったが、その困難を克服した。 (3)AVSによる可視化環境を整え、入出力から計算までを一貫してユーザーフレンドリーなシステム構築を行った。
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