本研究では二酸化炭素を反応媒体にしたケミカルヒートポンプの可能性を検討した。二酸化炭素は1000K以下の高温域で安定な物質であり、また地球環境に対しても優しく、社会受容性を備えた反応物である。そこで二酸化炭素を反応媒体にした反応系の検討を行った。その結果、無機酸化物系の炭酸化反応が有望であった。酸化カルシウム/二酸化炭素反応系は従来より、反応活性が高いことが知られており、ヒートポンプを完成するには対応するもう一つの二酸化炭素反応系を決定する必要があった。本研究では酸化カルシウム/酸化マグネシウム/二酸化炭素反応系を候補にあげ主に検討し、その実用性を検討した。一方で種々の二酸化炭素反応系に関しても検討を行いヒートポンプとしての可能性を速度論的に検討した。 実験では積分型反応器の設計条件を得るために、熱天秤を用いて微分反応速度を測定し、反応速度論的検討を行った。反応器は流通型であり、二酸化炭素と不活性ガス成分として窒素ガスを混合したガスを反応に用いた、各流量はマスフローメーターにより調節し、所定の反応分圧を実現した、反応温度は電気炉にて輻射加熱し所定温度を保った。反応物質としてはアルカリ土類金属酸化物および酸化銅、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化鉛に関してそれぞれ二酸化炭素反応特性を検討した。 その結果酸化マグネシウム/二酸化炭素系及び酸化鉛/炭酸化反応系が酸化カルシウム系に対する反応系として有望であった。これれらの系についてはさらに検討を進め反応動力学的検討を行った。また、繰り返し反応対する反応耐久性を検討した。繰り返し反応性に関しては酸化鉛が優れていることが明らかになった。次に積分反応器の制作を行い。反応時の反応度、熱出力の同時測定が可能とした。この反応器によりヒートポンプとしての基礎的な反応性能を検討することが可能となった。
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