研究概要 |
窒化物燃料(UN)の健全性を評価するための基礎研究として、UNと核分裂生成物の中でも収率の高い白金族元素(Rh,Ru,Pd)との反応挙動を調べた。窒素分圧0〜1気圧下、温度1000〜1400℃におけるUNとRhおよびRuとの反応試験より、温度が高い程、窒素分圧が低いほど、ウランと白金族元素との化合物が生成しやすく、その場合生成物はUMe_3(Me:白金族元素)の化学型をとることがわかった。また、より高温・低窒素分圧下での反応試験はの結果は、UN+3Me=UMe_3+1/2N_2の反応に対する熱力学的データと一致するのにたいし、より低温・高窒素分圧下、例えばRuの場合、1200℃以下、窒素分圧0.1気圧以上での試験結果は、UNが変化したU_2N_3+6Ru=2URu_3+3/2N_2の反応式にたいする熱力学的データを従うことがわかった。このUNがU_2N_3へ変化する条件は、燃料被覆管の中でも生じるとされているのにもかかわらず、U_2N_3と白金族元素との反応についてはこれまであまり言及されていない。従って、今後燃料の健全性を評価するためには、UNだけでなく、U_2N_3との反応性も調べる必要があることがわかった。一方、Pdとの反応試験では、高温・低窒素分圧下では、UPd_3が生成するが、低温・高窒素分圧下ではUPd_3以外に別の化合物も生じることが見いだされた。U-Pd系にはUPd_3以外に幾つかの化合物の存在が知られているが、その構造は明らかにされておらず、同定は行えていない。したがって、UNとPdとの反応挙動は、Rh、Ruとは異なり少し複雑であり、その解明にはU-Pd形化合物の構造の解明が必要と思われる。
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