C-CO_2電離箱の中性子感度k_U因子は、これまで1MeVでの測定データは存在しなかった。実際に使われてきたものは、1MeV以上の中性子に対する測定値を用いて、計算により1MeV以下まで外挿して求めたものであった。しかしながら、これまで用いられてきたk_U因子は定義されたフォーミュレーションからの予想に反したエネルギー分布を示していた。即ち、壁材質とガスのカ-マの比に比例する(k_U∝K_<wall>/K_<gas>)ことに由来する、酸素のカ-マは0.3MeV付近に共鳴ピークが見られていなかった。このため、実際に0.1〜1MeVでk_U因子の測定することは、中性子線量の測定精度を上げるために必要不可欠であった。 広島大学原医研の発生装置を用いることにより、0.1〜1MeVの中性子エネルギー領域で、感度を測定を行った。その結果を、図1に示す。図より解るように予測された0.4MeVおよび1MeV中性子エネルギーでk_U因子は、共鳴ピーク的振る舞いをし、このエネルギーで今まで用いられてきたk_U因子と因子2程度違うことが確認された。その結果、この中性子エネルギーの領域で線量測定の精度は6%の改善が得られたことになる。 この結果は、日本放射線影響学会で発表を行い、放射線物理の研究者の支持を受けた。また、英国医学系物理雑誌(PMB)および日本医学放射線物理学会誌に投稿中であり、更に日本医学放射線物理学会での発表を予定している。
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