1.古甲川の生物調査 5月18日、7月5日、8月11日、10月21日 古甲川生物量・環境調査を実施した。古甲川を早瀬、平瀬、淵に分類し、それぞれを水深、流速、河床材料で特徴づけた。また、早瀬、平瀬、淵の代表的な区間において魚を全量採取し、計数した。その結果、カワムツが優占種であり、面積あたりでは淵に多数生息しているものの、水量あたりではやや平瀬に魚数が多いことが判明した。また、採取した魚の一部を2.で述べる実験用に持ち帰った。 2.実験水路における生物の挙動の測定 古甲川で採取したカワムツおよび購入したヒメダカを用いて、流速、濁度、水生植物の有無、遮蔽条件、河床の礫径、魚巣ブロックおよびこれらの複合条件について、U字迷路型水路を用いて選好性実験を実施した。この結果、昨年度すでに実験を実施したタナゴにおいては遮蔽条件に対する選好性が極めて強かったのに対して、カワムツはほとんど遮蔽条件に選好性を示さないこと、カワムツは早い流速に対する選好性が強いこと、ヒメダカはカワムツとタナゴの中間的な性格を示すことなどが明らかになった。 3.生態系モデルによる生物の挙動予測 (2)の結果を用いて、個々の環境条件に対する選好強度式を作成し、それぞれの環境条件間の因子ウェイトを求めた。これにより、古甲川の現況における魚の分布が計算できた。将来予測については、工事計画が流動的であったため今後の課題とした。また、餌量、水温、水深などの今回検討できなかった環境条件や、ヨシノボリ、フナなどの他魚種についての選好性実験を行っていく必要がある。
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