本研究では、近年の廃棄物による地盤環境災害の深刻な状況を踏まえ、建設分野への廃棄物利用を促進するための考え方を示すため研究を行い、以下に示す成果を得た。 1.残土の利用による環境影響とその制御 建設業から排出される残土の量は膨大であり、その有効利用を促進するためには不良土の改良が求められるが、本研究ではセメント改良土からのアルカリ溶出特性とその制御方法に関して検討を行った。本研究ではまず、カラム試験およびモデル試験により安定処理土からのアルカリ溶出特性を検討し、周辺土への影響とその緩衝機能を評価した。さらに、植生土壌の文献調査ならびに安定処理土を盛土構造物へ適用した場合のアルカリ溶出制御に関する評価を行い、設計のための考え方を示し、残土利用システムへの導入を提案した。 2.廃棄物による環境創造の提案 研究代表者がこれまでに提案してきた砕石粉の袋詰め固化工法(砕石粉と固化材とを不織布製袋に詰めて袋ごと水没させ、固化させる工法)の海底地盤上への潜堤構築の適用性について、地盤および構造物の安定性を議論することにより評価するとともに、現場実験を実施し海洋環境での適用性を環境影響面、機能面の双方から明らかにした。
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