研究概要 |
本研究は,いわゆる「しろうとさん」がどの程度の正確さで,河川の水質調査を実行できるか,あるいはどういうやり方によれば,必要な精度を確保できるかを検討するものである。 ここでは河川の水質調査を取り上げ,まず市民による調査と専門家による分性とを対比させて市民による調査の精度を明らかにした。 対象としたのは,住民の自発的な環境保全運動の一つとして,茨城県の霞ヶ浦流域河川において実施されている水質調査である。なお調査項目は,堤防のようすから生物まで多岐におよぶが、ここでは特に化学分析に焦点を合わせた。結果は以下の通りである。 (1)調査に同行し,調査を観察すると共に,水質分析の専門家でない主婦などが簡易な分析方法で分析した水質測定値を入手した。 (2)上記市民による調査と同時に専門家によるサンプリングを実施した。 (3)専門家による水質分析を実施した。 (4)市民による測定値と専門家による測定値を比較して,市民による測定値の精度を明らかにした。 (5)市民による測定値に人の属性(主婦か小学生か)は関係しなかった。 (6)簡易法による精度は河川における調査では十分に高かった。したがって簡易法による測定値に差があれば,水質が異なることが統計的に証明された。 以上から,河川の水質を把握するのに,市民による調査はきわめて有効であることが明らかとなった。
|