研究概要 |
まず、ポルフィリン-ポリペプチド複合化のための新しいテンプレートとして、5,10,15,20-テトラキス(2-カルボキシルメトキフェニル)ポルフィリンを合成した。これは、フェニル基のオルト位に合計4つ、ポリペプチド結合用の官能基をもち、テトラアミノフェニルポルフィリン等と同様のテンプレートとなりうる。しかしこのポルフィリンではアトロプ異性化が速く、ペプチド導入において容易にαααα-体を得ることができる。これに疎水性の強い21残基からなるペプチド(H-(-Gln-Leu-Leu-Gln-Ala-Leu-Ala-)3-NHCH2CH2OH)を4本導入し、ポルフィリン-ポリペプチド複合体を合成した。4本のポリペプチド鎖はα-ヘリックス構造をとりながら凝集し、ポリペプチド集合体構造をとった。また、この複合体は卵黄レシチンの二分子膜中に取り込まれた状態で安定であった。ポリペプチド鎖は、この脂質二分子膜中でもα-ヘリックス構造をとっていた。 このポルフィリン-ポリペプチド複合体は脂質二分子膜中では、ポルフィリンが外水相の近傍に存在する。この他、脂質膜中でポルフィリンが膜中央の疎水部に存在する様に設計した複合体を合成している。2-ドデシルオキシ-5-ニトロヘベンズアルデヒドから対応するポルフィリンを合成した。生成物は非極性溶媒に溶解し、しかも非極性溶媒中では分子内双極子を小さくする力が働き、αβαβ-体が優勢であった。現在このポルフィリンにアミノ基を導入し、ペプチドとの複合化を図っている。
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