研究課題/領域番号 |
06780485
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
和田 郁夫 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40182969)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 信号伝達 / ジアシルグリセロールキナーゼ / 細胞刺激 / 細胞増殖 / 核 / 移行 / 細胞内局在 / Z inc finger |
研究概要 |
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)の信号伝達における役割を明らかにするために、IPTGによるon-offを行うlacオペロンを含む発現ベクターにDGKをつなぎ、これをlacオペロンを発現するNIH3T3細胞に導入し、IPTGに依存的にDGKを発現する細胞を確立した。発現はIPTGの投与量に伴い増加したが、充分な発現量を得るために必要なIPTGの濃度はlacオペロンを発現する3T3細胞においては弱いアゴニストとして働くことが明らかになった。このため、PDGF等の刺激に対する細胞応答におけるDGKの役割はこの系では充分な解析を行うことが困難であった。そこで、エピゾ-マルなプラスミドの増殖を行うベクターpRep8にDGKを組み込み、ヒスチジノールを含む選択培地で発現細胞を集めて、semi-transientな発現系でのDGKの信号伝達のおける役割を多角的に調べた。その結果、DGKの過剰発現は、PDGFやLPAによってひきおこされるS期への進行を完全に阻止することが見い出された。この知見はstable epressionによる低レベルでの発現により観察された細胞増殖の亢進とは正反対の現象であり、従ってDGKはその発現量に応じてダイナミックな増殖能の調整を行っていることが示唆された。また最近胸腺細胞をCalphostin等の処理によりDGKのZn fingerの機能が阻害された場合にはDGKは細胞質から核に移行し、またコンカナバリンAによる刺激によっても同様の移行が起こることを見い出した。現在、このDGKのZn fingerは(おそらく多の因子との相互作用により)DGKの細胞質への局在に必要であり、刺激がZn fingerの構造を変化させ核移行シグナルを露呈させ、translocationを行うというモデルを検討中であり、これは前述の細胞増殖機能の調節を可能にするDGKの分子的基礎をなすものと考える。
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