1.マウス神経成長抑制因子/メタロチオネインIII(mGIF/MT-III)特異抗体の作製とその評価 mGIF/MT-IIIに特微的な領域にもとづくペプチド(mGIF/MT-III_<57-64>)を合成しそのKLHコンジュゲートをウサギに免疫することにより抗血清を得た。この抗血清から特異抗体を精製し、マウス脳抽出液および肝臓抽出液に関して上記抗体を用いてのイムノブロットを試みたところ、脳特異的に染色されるバンドが認められた。後述の組換mGIF/MT-IIIとの比較より、anti-mGIF/MT-III_<57-64>はGIF/MT-IIIを認識し脳抽出液のイムノブロット分析に十分使用できると評価した。 2.組換mGIF/MT-IIIの作製 GST-mGIF/MT-III融合蛋白質を発現するプラスミドを構築した。本遺伝子を導入した大腸菌はIPTGによる誘導によってGST-mGIF/MT-III融合蛋白質を発現した。融合蛋白質を精製し固定化トロンビンを用いてmGIF/MT-IIIを遊離させた。トロンビン処理物に関してさらにHPLCを行ない組換mGIF/MT-IIIを得た。得られた標品についてアミノ酸配列を確認した。 3.MacularマウスにおけるGIF/MT-III発現の低下 遺伝性銅代謝異常疾患であるMacularマウス脳抽出液は、正常脳抽出液と比較して神経細胞に対して強い成長促進/生存維持活性を示した。GIF/MT-III発現低下が考えられたのでイムノブロット分析を行なったところ、GIF/MT-IIIタンパク質の発現は、Macularマウスにおいて低レベルであった。ノーザンブロットも試みたが、発現レベルの関係からか明暸なシグナルはまだ得られていない。 補助金により購入したイルミネーター付きUVクロスリンカーは核酸を扱う実験で使用し、微量高速遠心機は各種サンプルの調製に多用した。
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