研究概要 |
in vivoの実験結果からspoIVCAの転写に関与することが示唆されたSpoIIIDタンパク質を大腸菌内で大量に発現させ、カラムクロマトグラフィーにより精製をおこなった。このタンパク質のspoIVCA上流領域への結合能をDNaseIフットプリンティング法により調べた結果、-14〜-34の領域にSpoIIIDが結合することが明らかとなった。次に枯草菌のT_3の細胞より精製したEδ^Eを用いて、spoIVCAを鋳型としたin vitro転写系に、SpoIIIDタンパク質を添加した。この結果、spoIVCAの転写産物はEδ^Eのみを添加した場合では検出されず、Eδ^EとSpoIIIDを添加した場合にのみ検出された。これらの結果より、枯草菌胞子形成期におこるDNA再編成に関与するspoIVCAの転写はEδ^EとSpoIIIDにより正に制御されていることがin vitroにおいても明らかとなった。さらに、spoIVCA以外のEδ^Eで転写される遺伝子群(spoIID,spoVE)の発現に対するSpoIIIDの関与を調べるために、SpoIIIDを用いたDNaseIフットプリンティング、in vitro転写実験をこれらの遺伝子のプロモーターを含むDNA断片を用いておこなった結果、SpoIIIDはspoIID,spoVEの転写を負に調節していることが明らかとなった。また、spoIVCAのプロモーターを枯草菌で誘導可能なspacプロモーターに置き換えた融合遺伝子を染色体上に構築し、spoIVCAを栄養増殖期に強制発現させ、DNA再編成の有無を調べた。この結果、DNA再編成がおこらず、DNA再編成に直接関与するSpoIVCA以外の因子が胞子形成期特異的に存在することが示唆された。この因子はSpoIIIDである可能性があり現在解析をおこなっている。
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