ラットheme oxygenase-1のcDNAをSV40をプロモーターとする発現ベクターであるpSVLに組み込みnaiveな酵素(完全長289アミノ酸)を、COS-1細胞で一過性発現させた。細胞分画後のイムノブロットや免疫蛍光抗体染色により発現されたheme oxygenaseの細胞内局在を確認したところ、生理的な存在オルガネラである小胞体に局在した。この発現系を用いて小胞体局在化シグナルの解析を行った。カルボキシル末端の疎水性領域を欠失させたdeletion mutant(263アミノ酸)は小胞体へ輸送されず、細胞質に留まった。ゆえに、カルボキシル末端の疎水性領域が小胞体膜へanchoringすることに必要であると考えられる。 大腸菌のchloramphenicol acetyltransferase(CAT)やdihydrofolate reductase(DHFR)のカルボキシル末端側にheme oxygenaseのカルボキシル末端の疎水性領域(26アミノ酸)をつないだキメラタンパクはそれぞれCATやDHFRの抗体で細胞内局在を判定すると小胞体へ輸送された。ゆえに、カルボキシル末端の疎水性領域があればそのタンパクは小胞体膜へ選別輸送(target)されるといえた。現在、ヒトheme oxygenase-2の抗体を作成できたので、同様に局在を調べている。また、カルボキシル末端の疎水性アミノ酸20数残基のペプチドを化学合成し、これをリガンドとしたアフィニティーカラムを用いてラット肝の細胞質などから相互作用する物質の単離、精製を行っている。
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