研究概要 |
CGP360はリウマチ患者自己抗体を用いて、我々によりcDNAがクローニングされた分子量360kDの新しいゴルジ装置細胞質側局在蛋白質である。cDNAによる一次構造の解析からCGP360は親水性の蛋白質でC末端にのみ疎水性領域を持っており、多数のleucine zipper構造を有することが明らかになった。DNAデータベース検索の結果、本蛋白質はミオシン族に低い相同性(〜20%)が見いだされた。これらの結果からCGP360はα-helixを多く含む比較的細長い構造を持つと推測される。私は大腸菌の発現系を用いた組換え体蛋白質を抗原として、抗CGP360抗体を作成し、これを用いて本蛋白質のゴルジ装置膜結合様式について以下のことを明らかにした。 1.ラット由来NRK細胞をゴルジ装置を小胞化するbreferdinA処理し、経時敵に固定、蛍光抗体法により観察すると、本蛋白質はゴルジ装置が完全に小胞化する20分処理で初めて細胞内にdiffuseに分布した。同一の条件下でゴルジ装置に緩く結合しているβ-COPは速やかにゴルジ装置から分離した。 2.NRK細胞をnocodazol処理し蛍光抗体法で観察した結果、マイクロチューブルが完全にチューブリン単体に解離する条件下でも本蛋白質はゴルジ装置膜に結合していた。 3.NRK細胞のpost nuclear surpernatant(PNS)を105,000g遠心、膜画分と可溶性画分をSDS-PAGE,immuno-blotにより解析すると、CGP360はすべて膜画分に検出された。 4.前述の105,000g膜画分を、1M NaCl、0.1M NaCO3及び1%DOC処理後可溶性画分と非可溶性画分に分けimmuno-blotにより解析すると、CGP360は界面活性剤であるDOC処理でのみ可溶化された。 以上の結果からCGP360はゴルジ装置膜に直接、強く結合しており、膜結合部位は、おそらくC末端の疎水性領域と考えられる。
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