研究課題/領域番号 |
06780600
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮田 愛彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物学研究部門, 研究員 (70209914)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 熱ショック蛋白質 / HSP / HSP90 / FK506 / FKBP / 免疫抑制剤 / 分子シャペロン |
研究概要 |
免疫抑制剤FK506の細胞内結合蛋白質のうち、高分子量のFKBP52は熱ショック蛋白質HSP90と複合体を形成している。本研究ではHSP90とFKBP52との複合体形成の生理的意義を明らかにすることを目的として以下の実験を行った。 まずFK506の32位の-OH基を保護基を入れたアミノ酸を用いてエステル化し、パラジウム触媒下に保護基を外して生じたアミノ基を介してAffiGel-10にカップリングしてFK506アフィニティー樹脂を作成した。放射性メチオニンでラベルした細胞の粗抽出液中からFK506アフィニティー樹脂に結合する複数のFKBPを単離した。一方で報告されたヒトFKBP52のアミノ酸配列から、そのC末端に相当するペプチドを化学合成し、同ペプチドに対するウサギ抗体を作成した。この抗体は上記FK506アフィニティー樹脂を用いて精製したFKBP52を特異的に認識した。この抗体を用いてFKBP52の2次元等電点電気泳動上のpIを5.4と決定した。 また、in vitroでのpeptidyl-prolyl-isomerase(PPIase)活性の測定系を確立した。基質としてはプロリン残基を含むキモトリプシン基質標識ペプチドを用いた。このペプチドはプロリン残基での異性化に伴ってキモトリプシンの基質となって切断され発色する。切断前後の吸収差スペクトルから385nmの吸収を測定することでPPIase活性を高感度に測定することができると考えられた。実際細胞粗抽出液を用いて同活性をこの系で測定することができたが、PPIaseに依存しない異性化の速度が無視できないことが判り、より低い温度での測定系を開発した。但しFK506アフィニティー樹脂で精製したFKBPのPPIase活性は、溶出に用いた過剰量のFK506の為にPPIase活性が阻害されていて検出できなかった。 HSP90と複合体を形成する事を既に明らかにしているSV40ラージT抗原を取りあげ、ラージT抗原とFKBP52とが細胞粗抽出液中で複合体を形成しているかどうかを調べた。しかし、共免疫沈降実験では相互の複合体形成は観察されなかった。一方カゼインキナーゼIIもHSP90と複合体を形成する事から、カゼインキナーゼIIとFKBP52とが相互作用する可能性が考えられる。実際、FKBP52は精製カゼインキナーゼIIの基質としてリン酸化されることが明らかとなった。
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