ダイノルフィンをはじめとするオピオイド_Kサブタイプのアゴニストはその受容体に結合しG蛋白を抑制することを報告してきた。さらに、モルモット小脳cDNAライブラリーから本受容体(ダイノルフィン受容体)遺伝子のクローニングに成功した。本研究では、ミュータント受容体をアタリカツメガエル卵母細胞に発現させダイノルフィン受容体のリガンド結合にかかわるドメインを調べた。また、本受容体はダイノルフィンやU69593(_Kアゴニスト)に対して非常に高い親和性を有す。そこで、モルモット小脳におけるダイノルフィン結合との比較を行った。 1.ダイノルフィン受容体のN末端あるいはC末端に1アミノ酸置換した受容体DNAを作成した。これらの受容体を卵母細胞に発現させ[^<125>l]-ダイノルフィンをリガンドとして結合実験から、ダイノルフィン受容体のNおよびC末端がリガンド結合に重要であることが示唆された。 2.小脳膜へのダイノルフィン結合は、従来報告されている高親和性結合(Kd=1.8nM)に加えてさらに高い親和性を示す結合部位(Kd=50pM)が認められた。U69593は非常に低濃度でこの後者の結合を阻害し、そのKiは20pMであった。この値は卵母細胞に発現されたダイノルフィン受容体へのKi値(40pM)と同等であった。これらのことから、モルモット小脳で見られるダイノフィン結合に本受容体が関与している可能性が示唆された。
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