研究概要 |
SCIDマウスに移植したヒト皮膚を用いて、in vivoでのヒト皮膚発がん実験を試みた。9,10-DIMETHYL-1,2-BENZANTHRACENE(DMBA)200mol、BENZO[a]PYRENE(BP) 200nmol、20-METHYLCHOLANTHRENE(MCA)1.5μmolおよび1-METHYL-3-NITRO-1-NITROSOGUANIDINE(MNNG)1.5μmolをそれぞれ5匹、5匹、14匹および6匹のヒト皮膚移植SCIDマウスに週1回、マウスが衰弱あるいは死亡するまで塗布した。その結果それぞれの実験において27週目、25週目、25週目および30週目まで各がん原物質を塗布した時点で全てのマウスが死亡あるいは衰弱し、その時点までにヒト皮膚での発がんは確認できなかった。一方、対照群のマウス皮膚ではいずれの実験においても乳頭腫瘍の発生が確認された。 そこで次に6匹のヒト皮膚移植SCIDマウスに、DMBA100nmol、BP100nmol、MCA1μmolならびにMNNG1μmolのいずれかを週1回交互に塗布しながら、紫外線(UV-B,302nm)を約12、480J/m^2/day、週5回照射する実験を行なった。その結果、がん原物質を塗布し始めてから22週目までにすべてのヒト皮膚移植SCIDマウスが衰弱あるいは死亡し、その時点までにヒト皮膚での腫瘍形成は認められなかったのに対し、対照群では13週目より腫瘍形成が認められた。このことよりSCIDマウスに移植したヒト皮膚での発がんは、マウス皮膚での発がんに比べて困難であることが判明した。
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