研究概要 |
1.試料を一定角度ごとに回転させ,赤外光を照射したときの試料の投影像を測定するスキャナを製作した.試料はステッピングモータによって回転し,ステップ角は最小0.9度である.また投影像の測定装置はCCDイメージセンサを用いて製作した.イメージセンサの光蓄積時間は10ms,ホトダイオードの走査速度は2μsである.イメージセンサの出力信号をサンプリング周波数150kHz,分離能8ビットでAD変換し,パーソナルコンピュータに記録した.赤外光の波長は870nmである. 2.イメージセンサの受光パワーとイメージセンサ出力電圧との関係を測定した.その結果,光パワーが0.1μWから45μWの範囲で光パワーとイメージセンサの出力電圧は比例関係を示した. 3.投影像の測定および画像を再構成するプログラムを製作した.投影像の測定はステップ角0.9度,投影数200である.画像再構成法は重畳積分法を用いた.測定視野は直径10mmの円形である. 4.上記システムによる撮像実験の結果,外径5mm,内径4mmのガラス製円筒を試料とした場合,ガラス管円筒の厚さは実寸よりも薄く,外径は実寸よりも大きく描出された.またこの試料の中心部に長軸方向に導線を取付けて撮像したところ,ガラス管円筒および内部の導線が画像化された.直径10mmのアクリル製円柱の中心に直径3mmの穴をあけたものを試料とした場合には,円柱内の穴が描出された. 本システムの画像再構成に回折トモグラフィを適用するため,撮像条件として投影像の測定間隔の影響をシミュレーションによって検討した.その結果,投影像の測定間隔が波長よりも長くなると画像の歪みが大きくなり,少なくとも波長程度で測定する必要があることが分かった.
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